8月の訪日韓国人客半減、関係悪化で 日本人旅行者にも影響

2019.09.23 01:00

 日本政府観光局(JNTO)が発表した8月の訪日外国人数(推計値)によると、韓国は前年同月比48.0%減の30万8700人となり、約半数に落ち込んだ。

 日韓関係の悪化による予約キャンセルや新規予約の伸び悩みが原因で、東日本大震災が発生した当時と同規模の減少幅。韓国の激減は訪日市場全体にも波及し、関西空港が機能不全に陥った台風21号や北海道胆振東部地震の影響を受けた18年9月以来11カ月ぶりのマイナスを喫した。また、好調だった日本人旅行にもかげりが見えている。

 訪日韓国人市場は今年に入り、経済の低迷や海外旅行先の多様化などで、2月と6月を除くすべての月でマイナスとなり、成長が鈍化していた。こうしたなか、日本政府が7月上旬に半導体関連輸出規制を強化したことで、7月は7.6%減の56万1700人となり、8月は路線の運休や減便で渡航者が急減した。

 観光庁の田端浩長官は、「団体旅行に加え、85%を占める個人旅行者にまで影響が波及した」と分析する。9月第1週の韓国航空会社の運航便数は前年同期比15%減で、9月も影響が続くと見られる。韓国は18年の訪日市場全体の24.1%を占めるなど、中国に次ぐ第2位の市場としてインバウンドを牽引してきた。このまま減少が続けば、19年の訪日市場がマイナスに転じる可能性も否定できない。

 一方、韓国を訪れる日本人は、1~7月は25.5%増の192万4830人と顕著な伸びを示していたが、韓国法務部が公表した暫定値によると、8月は4.8%増に鈍化。JATA(日本旅行業協会)が8月に行った旅行市場動向調査では、景気動向指数(DI)が7~9月はマイナス70に低下。10月以降もほぼ同じ低水準となっている。

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