2019年9月2日 8:00 AM
セーバー・ホスピタリティー・ソリューションズのフランク・トランパート・アジア太平洋地区マネージングディレクター兼チーフコマーシャルオフィサーが先ごろ来日し、「宿泊施設は客室のプロバイダーとしてだけでなく、リテーラーとして新たな変革が求められている」との考えを示した。顔認証など最新技術を用いて購買体験を向上させる取り組みが小売りの現場で行われている昨今のトレンドを踏まえたもの。客室のほか、ブランド製品、スパ、イベントなどを販売できる環境づくりを支援する。
トランパート氏は新たなトレンドを「Aコマース」と称した。オートメーション・アーティフィシャル・インテリジェンスを活用した顧客提案の意で、個人の興味に応じた提案を行う。宿泊業界にも対応が求められているが、実現するためには顧客管理プラットフォームを簡素化する必要があるとし、同社が開発した「SynXis(シナキシス)セントラル・リザベーションズ」を通じて支援する意向を示した。
シナキシスは、料金、在庫、予約管理を包括する単一のプラットフォーム。宿泊施設は現在、予約や会員プログラムなど各システムごとに顧客情報を個別に管理しているが、これらを一元化すれば労力とコストを削減できる。シナキシスは175カ国・4万軒のホテルで導入され、グローバルチェーンの45%が利用。予約数が10~45%増加するなど、効果が表れているという。
シナキシスを基盤とする新たな試みがインテリジェント・リテール・プラットフォームの構築だ。ランガムホテルズをローンチパートナーとして、20年をめどに移動や体験、ブランド製品などをリテールできるようにする。トランパート氏は「これまでは宿泊日、人数、客室タイプを選ぶのが一般的だったが、Tシャツやマグカップを購入でき、よければ客室もというように変わる」と語った。
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