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南紀白浜空港が旅行業登録、地域色豊かな商品開発

2019年9月1日 8:00 AM

定番観光地以外も訴求していく。中央に穴が開いた円月島もその1つ

 和歌山県の南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポートは6月に第2種旅行業登録を取得し、旅行商品の企画・販売に乗り出した。空港運営会社による旅行業登録は例がない。4月の民営化以前は旅行者誘致のプロモーションにとどまっていたが、地域色の強い体験プランをつくり、2次交通と宿泊施設を組み合わせた商品の販売に自ら踏み込む。

 南紀白浜空港の定期便は現在、日本航空(JL)が1日3便運航する羽田線のみで、18年の利用者は16万1000人だった。コンサルティング会社の経営共創基盤とその子会社のみちのりホールディングス、地元ホテルを運営する白浜館などが出資する。

 南紀白浜エアポートは運営開始に伴い、28年に25万人まで増やす目標を掲げており、チャーター便の誘致や欧米豪からの訪日客を取り込んでいく方針だ。

 旅行ブランドは紀伊トラベル。現在、同空港を利用する企業の受注型企画旅行を手掛けるが、特に力を入れるのが地域色のあるプランの造成だ。首都圏から南紀白浜エリアを訪れる旅行は、新幹線を使い、熊野古道をトレッキングするコースが定番となっているが、新たな観光素材として熊野古道での祈祷や梅干し作り、養殖マグロの餌やりなどを商品化した。2次交通や宿泊施設も組み込み、空港を起点とした広域周遊観光を推進する。こうした着地型商品や体験プランを首都圏の旅行会社を通じて販売し、集客する。

 誘客・地域活性化室の森重良太室長は、「広域的な視点を持ち、地元に密着した空港ならではの視点で地域の観光を充実させていきたい」と話す。年内には専門サイトを立ち上げ、ゆくゆくは同空港発着の募集型企画旅行も手掛ける意向という。