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18年の旅行業者売上高、大手牽引で増収2割

2019年8月30日 8:00 AM

 帝国データバンク(TDB)がまとめた国内旅行業者の経営実態調査によると、18年の売上高は前年比1.6%増の4兆6758億5700万円となった。訪日外国人の増加や宿泊費の上昇で客単価が上がり、押し上げ要因になった。ただし、増収企業は2割にとどまり、伸び率は17年の4.6%から鈍化している。JTBやエイチ・アイ・エス(HIS)、日本旅行など大手旅行会社を中心に増収が目立ち、売り上げ規模の小さい中小ほど低調だった。

 調査は18年1月期~12月期の年売上高が判明した国内旅行業者3047社に実施した。16年から業績比較が可能な2881社のうち、増収は634社で全体の21.7%を占めた。TDBは増収企業の特徴として、「訪日外国人向けの文化体験ツアーを企画する企業の業績拡大が目立つ」(情報部)と分析する。海外法人との事業提携や海外サイトの口コミが集客増加に寄与した事例もあった。

 一方、減収も19.7%あり、増減率3%未満の横ばいの58.5%と合わせると8割が伸び悩んでいるのが現状だ。年商規模別に見ると、10億円未満の企業は減収が505社で増収を上回った。

  また、業界の構図では、従業員10人未満の企業が2436社と約8割を占めた。これには中小規模のオンライン旅行会社やランドオペレーターが含まれる。TDBは今後の見通しについて、オンライン旅行関連サービスの市場規模は拡大が見込まれていることから、競争は激化すると見る。加えて、17年のてるみくらぶ破綻の影響で消費者の大手志向が強まっているほか、テレビCMで集客力を高める新興企業が増えており、小規模事業者の淘汰が進む可能性を指摘。成長に向け、「需要拡大が期待される訪日市場の取り込みは重要」(情報部)としている。