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イベント民泊促進へ事例提示 観光庁、需給予測の算出や連携方法

2019年8月19日 8:00 AM

 観光庁はイベント民泊の拡大を目指し、実施要件を満たすか否かの判断など具体的事例を盛り込んだガイドラインの改定を行った。

 9月のラグビー・ワールドカップ(W杯)を皮切りに大型スポーツイベントが続くことから、積極的な活用を促す狙い。実施状況も初めて公表し、18年は前年の2倍となる21件のイベントで利用されるなど、徐々に浸透している実態も明らかになった。

 イベント民泊は宿泊施設不足が見込まれる大型イベントの際、自治体の要請で自宅を民泊施設として貸し出す制度。政府は16年4月のガイドラインの策定以降、活用を呼びかけている。

 今回の改定で追加した具体的事例では、解釈や判断に迷う要件への対応を
示した。たとえば宿泊施設不足の判では、「合理的な判断」との表現にとどまっていたが、宿泊希望者への調査をもとにイベント開催月の平均客室稼働率から供給可能客室数を割り出し、需給予測を行う例を示した。

 関係部局との連携では、トラブル時に旅館業法の担当部局と警察が連携した例や、観光と旅館業法の担当部局が協力して衛生面に関するちらしを配布した例を示した。このほか、自宅提供者から自治体への申込書の統一様式も明示した。
実施状況を見ると、16年はイベント1件、延べ宿泊者3人だったが、17年は10件611人、18年は21件526人となり、地方を中心に活用されている。

 「周知が進んだことや有名イベントで活用されたこともあり、興味を示す自治体が増えている」(観光庁観光産業課)。

 とはいえ、広く浸透している状況ではないうえ、実施基準や安全管理の問
い合わせも多い。観光庁は「大型イベント時の主要な選択肢となるよう今後も周知を図る」としている。