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MaaSで先行するウィラー、一括予約の観光アプリ開始

2019年8月5日 6:42 PM

7月19日には、立場の異なる有識者がMaaSについて議論する会議を開催。観光庁の田端浩長官も参加した

 ウィラーは、公共交通が網羅できないさまざまな空白を埋める次世代移動サービスMaaS(マース)の構築に本腰を入れる。8月中に目的地までの交通や経路、アクティビティーを一括して検索・予約できる観光アプリの提供を北海道東部と京都丹後鉄道沿線で開始する。アジアでは新型モビリティーの実用化に向けた実証実験も開始した。

 観光アプリは、目的地の途中にある駅や空港、バス停、観光地、アクティビティーを5カ所まで経由地として指定すると最適なルートが示される。クレジットカードでの事前決済機能も備える。2次交通や移動情報が不足している地域への旅行の利便性を高める目的で、10月から多言語化し、21年までに日本全国とアジア10カ国に広げる。利用者の属性や行動履歴に基づき、オンデマンド交通など新たな移動サービスの企画に役立てる狙いもある。

 シンガポールでは6月、国立公園ジュロン・レイク・ガーデン内で乗客を乗せたバスの運行を開始。半年間にわたり毎日運行し、ニーズや課題を洗い出す。ベトナムでは、市内で展開するタクシー配車アプリサービスと8月中に開始予定の都市間バスを1つのアプリで検索から予約、決済まで一括して行えるサービスを10月に開始する。

 ウィラーが目指すのは、観光や日常生活を問わず、アジア全体を視野に入れた公共交通の空間的・時間的空白を埋める新たな移動サービスの提供だ。村瀨茂高代表取締役は、「MaaSでコミュニティーを活性化できるようにしたい」と語る。自動運転やオンデマンド交通は人口減少や高齢化などの社会課題解決に必要とみて、日本より規制緩和が進むアジアでノウハウを習得する。利用者の経済的負担を減らすため、定額制も構想している。