2019年8月5日 5:21 PM
福島県浜通りの8町村から成る双葉郡の将来像を描く「ふたばグランドデザイン」の検討委員会は、50年までに来訪者を200万人とする目標を打ち出した。東日本大震災からの復旧・復興へ向けた町づくりを目指し、双葉郡が一体となって未来のあるべき姿を検討してきたなか、7月中旬にまとめた最終案に盛り込んだ。案では、世界各国からの誘客が見込めるMICE誘致に向けた「ふたば国際コンベンションリゾート構想」など、観光分野での戦略も掲げた。
東日本大震災では東京電力福島第1原子力発電所の事故が重なり、10年に約207万人だった8町村の観光入込客数は17年でも約26万人までしか回復していない。基本構想の目標年次は、原発の廃炉が完了予定の50年と重なる。
観光分野の戦略の柱の1つがMICE誘致の実現で、宿泊施設やコンベンションホールなど滞在型国際会議が可能な施設を整備する。検討会では、「30年の開催が想定される先進7カ国首脳会議(G7サミット)の誘致を目指したい」といった声も上がっている。
また、楢葉町にある Jヴィレッジを拠点にスポーツ交流ツアーなどの企画を促す。さらに阿武隈高原などの自然や最先端のデジタル技術を駆使したアートなど、誘客コンテンツの磨き上げを地域で連携して取り組む。
誘客を増やすための交通アクセス向上に向け、インフラ整備を国に働きかける。具体的には、東京とJヴィレッジ、仙台を結ぶ「常磐新幹線構想」や双葉郡と中通りを直接結ぶ「あぶくま横断道路構想」などを挙げた。年内にも町村長でつくる推進協議会や各町村職員によるワーキンググループを設立し、アクションプランの作成を進める予定だ。
Copyright © TRAVEL JOURNAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.