新宿に初のダイバーシティホテル、設計から接客までLGBT起用

2019.07.29 17:52

百人町にあって中庭付きカフェは寛ぎの空間。CEN(セン)はラテン語のcentum(100の意)の略語

 人種や性別などにとらわれず、すべての人が自分らしく過ごせるホテルを掲げる「CENダイバーシティ・ホテル&カフェ」が7月20日、東京・新宿に開業した。LGBTなどマイノリティーに配慮したサービスの提供に向け、全従業員に研修を施し、国籍を問わない外国人スタッフの採用を積極的に行う。コンセプト設計にはLGBT当事者を起用した。徹底してダイバーシティを追求するホテルは日本で初めて。

 マンスリーマンション運営のレジデンストーキョーが2軒目の宿泊施設として開業した。手掛ける外国人向け家具付きマンションでは、トラブルへの懸念から貸し手が見つかりづらいなど、特有の課題に直面する。17年に上野で開業した簡易宿所でLGBT支援の象徴であるレインボーフラッグを掲げたところ、「理解のあるホテル」と支持を得た。野坂幸司代表取締役CEOは、「それならば、よりコンセプトを深めてやってみたらどうかと考えた」と語る。

 4階建てのホテルは全44室(11㎡~、1泊1万2000円)。中庭のあるカフェやルーフテラスを設けた。トイレはすべてのジェンダーが使用可能。フィットネスのニーズが高い客層の特性を踏まえ、スポーツジム大手と提携し、割安に利用できるようにした。

 将来の売却を視野に入れるオーナーからは、コンセプトを絞り込むことで資産価値が下がると懸念の声があるという。しかし、野坂代表は、「コンセプトを明確にすることで逆に高い付加価値を生み出せる」との考え。「不動産は一度造れば50年は残さないといけないため、最大公約数になりがちだが、ニーズに対応し、世の中に貢献していきたい」(同)。現在、IGLTA(国際ゲイ&レズビアン旅行協会)への加盟準備も進めている。

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