「旅の価値提供で地域社会を豊かに」 otomo代表取締役CEO 平塚雄輝氏

2019.07.22 19:14

 専属ガイドが訪日外国人を地域に案内するプライベートツアーサービスを1月に開始し、旅行業に参入した。個人旅行を志向しつつも言語などの課題を抱える層がターゲット。5時間程度のオリジナルプランを最大6人までのグループ単位の定額で提供し、安価に参加できるようにした。通訳案内士や規制緩和で門戸が開かれた学生や主婦などがガイドとして「お供」をする。

 発想の原点は15年に訪れたミャンマーにある。学校にも行かずポストカード売りをしていた少女が思いがけず、地元の隠れた見どころを熱心に案内してくれた。「個人も地域社会も潤う仕組みがあればと考えた」

 成長市場と目され、コストが軽微な旅行事業はネットを中心に新規参入が後を絶たない。そこであえてアナログなツアーオペレーター業を選んだのは、「コモディティー化がみられる体験予約サイトなどに比べ、エンドユーザーに近い最前線で価値提供できるから」。

 こだわりはツアープランにも表れている。社員が各地に赴き、徹底した取材をもとに内容を練る。その姿勢がONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構の目に留まり、地域の魅力を訴求し滞在を促す枠組みづくりで連携することとなった。

 目指すのはグローバルなツアーオペレーター。「旅を支える一番強い存在なのに地位は高いとはいえない。そこを変えていければ」。20年には台湾でも展開予定だ。

ひらつか・ゆうき●1986年生まれ。東京大学卒。日本人の父と香港人の母を持つ。2007年に友人と教育関連出版物の制作編集会社設立。後任に承継し、10年ソフトバンク入社。Hulu、PwCコンサルティングを経て、17年4月にotomo設立。旅行業第3種。