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オーバーツーリズム対策で指標開発へ、観光庁がモデル事業など実施

2019年7月8日 6:04 PM

 観光庁はオーバーツーリズム対策として、国際基準に準拠した持続可能な観光指標の開発・普及やモデル事業を行う。

 18年6月に庁内に設置した「持続可能な観光推進本部」が現状や方向性をまとめた。訪日外国人の急増で渋滞・混雑やマナー違反などが主要な観光地で深刻化するなか、政府がとりまとめを行うのは初めて。地方自治体やDMOと協力して対策に乗り出す。

 世界観光機関(UNWTO)が主要15カ国で昨年行った居住者への調査に基づくと、日本は観光が市民生活にネガティブな影響を与えていると感じている人々の割合が少ない傾向にある。観光の訪日外国人消費動向調査でも満足度は高水準を保っているため、「広く発生するには至っていない」との認識を示す。

 ただ、その一方で、138自治体から回答を得たアンケートでは、ルール・マナー、混雑を問題視する回答が多く、ほとんどの自治体が啓発活動のほか、レンタサイクルや乗り放題パスなどの対策を講じている実態も明らかになった。

 こうした状況を踏まえ、観光庁は個別の課題ごとに解決策を示すため、モデル事業などを実施する。これを先行的な取り組みとして各地域で共有できるようにする。また、長期的な視野に立った観光マネジメントが必要としており、取り組み主体として特にDMOの役割に期待している。

 指標は、住民満足度や環境負荷といった「住んでよし指標」も含めて観光地の現状を把握する必要があるとの趣旨で今年度中に策定する。グローバル・サステイナブル・ツーリズム協議会(GSTC)の指標などを参考にする。

 また、こうした指標などを住民に周知するなど、理解の醸成も不可欠な取り組みの1つとしている