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21年のホテル客室は供給過多に 、CBRE展望調査 大阪が最大

2019年6月24日 5:09 PM

 不動産サービスのCBREはホテル市場の展望調査を行い、ポスト五輪の21年の客室供給数が調査対象の主要9都市で需要を上回るとの見通しを示した。

 継続した訪日需要の拡大を見込んだ開業計画が加速しており、21年の客室数は18年比で24%(8万室)の増加となる。同社は単純な価格競争を避け、ニーズにより合ったきめ細かなプランや立地戦略など、誘客力のあるホテルを展開する必要があると指摘している。

 調査対象は、札幌、仙台、東京、名古屋、京都、大阪、広島、福岡、那覇。増加率で最も高いのは京都の51%で、大阪32%、東京24%と続いた。

 調査では、今後の開業計画を含めた供給客室数と訪日客と日本人の需要予測に基づいた必要室数を算出。供給と必要室数の差は、大阪が2万1000室と最大で、東京・京都も1万2000室と都市部は特に大きい。

 一方、地方は名古屋8000室、仙台4000室、札幌3000室、広島・那覇2000室、福岡1000室と比較的小さかった。昨年7月に発表した同様の調査では、20年に札幌、名古屋、福岡が客室不足との予想だったが、供給が増えたことで21年に逆転する格好。

 ただし、これまで予約の取りづらさなどで他地域に需要が流れていた面も見られると指摘する。たとえば、大阪を訪れた外国人の宿泊率は、14年は90%だったが、17年には64%まで低下している。今後は需要の回帰も期待できることから、必ずしも供給過剰に陥るわけではないとしている。

 誘客戦略の鍵としては、アジア客に多い家族や友人ら複数人を念頭に置いたダブル・ツインなどのハード面の整備を挙げた。飲食やコンシェルジュ機能などを備えたアッパークラスの開発の余地にも言及している。