「次の10年に向け布石を打つ」  エヌオーイー代表取締役社長 橋本肇氏

2019.06.24 20:07

 創業60周年を来年に控えた重要な時期に経営の舵取りを任された。「次代を切り開くことへの意欲とプレッシャーの両方がある」と語る。

 最初の大仕事として、新たに策定する中期経営計画の検討に着手した。部課長級でつくるプロジェクトチームを設け、必要な改革を答申してもらう100日プロジェクトを目下推進中。若手社員を巻き込んだ機運づくりに生え抜きの経営トップらしさがのぞく。

 ここ数年の業績は取扱人数・取扱高ともに5~10%増と好調に推移。牽引役は主力の業務渡航で、企業の海外投資熱が追い風となっている。ただ、利益率は鈍化気味で、景気の先行きにも不透明感が出てきた。収益力の向上を図るため、取り扱う商材の拡大と働き方改革による生産性向上に取り組む。

 鍵を握るのがクロスセル。コア商材の航空券は今後大きな利益が見込めない。ホテルなど周辺素材に本腰を入れ、収益源を増やす。企業に報奨旅行やイベントなどMICEも提案する方針だ。

 「企業の担当者はデジタルネイティブ世代が中心になりつつある。新たな提案をしていかないと」。世代交代により、包括的に出張管理・手配を行うBTMの導入が進むと読む。システム開発力に長けた子会社を持つ優位性を発揮し、契約獲得を進めたい意向だ。

 働き方改革では、モバイルワークや在宅勤務が可能な環境を整える。投資は成長過程に必要不可欠。「次の10年につなげていきたい」

はしもと・はじめ●1961年生まれ。85年ニュー・オリエント・エキスプレス(当時)入社。営業企画部長、経営企画室長などを歴任し、2008年に取締役就任。09年東京レジャー営業本部長、13年大阪支店長、17年管理本部長兼経営企画室長を経て、19年4月から現職。

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