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世界は体験型アクティビティー市場に投資する

2019年6月24日 8:00 AM

 旅行会社のアクテイビティー重視が進んでいる。人が参加するすべての行事・活動を指し、体験ツアー、お祭り、スポーツ交流、コンベンションなど対象は無限で急速に広がる。特にアジア域内需要は、米国、欧州と肩を並べるが、15年後には欧州、米国より大きくなると予想される。

 英国フィナンシャルタイムズによると、近年、セコイア(世界最大のベンチャーキャピタル)など著名投資会社は、アクティビティー産業の新規参入者を支援している。これら新興企業はアミューズメントパークのチケットから料理教室、ウオーキングツアーなど広い範囲で、ミレニアル世代、特に成長著しいアジア市場に焦点を当てる。

 伝統的旅行会社もオンライン旅行会社もこの市場を見逃さない。昨年、TUIはミラノの新興ツアー&アクティビティー会社を買収した。トリップアドバイザーは14年にツアー&アクティビティー会社ヴィアターを買収し、昨年はアクティビティー・テクノロジー・プラットフォームのボークンを獲得した。世界の3大オンライン旅行会社ブッキング・ドットコム、シートリップ、エクスペディアもアクティビティーを販売する。エアビーアンドビーは16年に自社のエクスペリエンス・プラットフォームを開設している。

 香港のクルックを始めとするスタートアップは世界の旅行とアクティビティー市場で国際企業に成長した。クルックは4月、2億2500万ドルの現金投資を日本のソフトバンクから受け、ゴールドマンサックスとセコイアを含め投資額は合計5億2000万ドルに達し、評価額は10億ドルを超えた。14年設立の同社は世界270を超える都市で10万以上のアクティビティーを提供する。

 爆発的に増加する若い中国人旅行者はアジアの顧客の85%、アクティビティー分野のオンライン販売の約半分を占める。昨年の取扱額10億ドルから今年3桁の伸びを予想し、新たな資本注入で同社は米国と欧州、日本に進出する。最初は主要都市に、その後にニッチ地域に拡大する計画だ。

 ツアーやアトラクションは言うまでもなく旅行の必需品だ。旅行会社には世界各地の魅力的な呼び物を紹介し、即座に予約できるプラットフォームが必要だった。代表例は09年にスイスの学生が創設したベルリンのゲット・ユア・ガイドだ。投資会社KKRなどが支援し、1億7000万ドルを集め欧州で成功し米国に進出した。以前は個別に紹介されていた世界中の観光ツア―、アトラクション、アクティビティーをオンラインで一本化した最初のデジタル会社だ。同社を利用する顧客が増えるにつれて、扱う範囲も広がり成長は加速した。

19年に1200億ドル市場に

 フォーカスライトの予測によると、アクティビティー市場は19年に1200億ドルに達し、アジアのサプライヤー(旅行会社、航空会社、ホテルなど)の売り上げの3分の1以上になる。オンライン業者、特にモバイルのプラットフォームは今年のオンライン販売が全体の約20%しかないことから成長の余地は大きい。この市場に独占的巨大企業が生まれる可能性があるが、今まで旅行市場に起きていないから多分起きないとアナリストは予言する。しかし、世界のツーリズムの成長エンジンがアジア新興市場であることは間違いない。

グループ4●旅行業界と外国政府観光局で永年キャリアを積んできた4人により構成。大学の観光学部で教鞭をとったり、旅行業団体の幹部経験者もいる。現在、外国メディアで日常的に海外の観光・旅行業界事情に接し、時宜に応じたテーマで執筆している。