Travel Journal Online

JTBが「選択と集中」で構造改革、個人旅行をてこ入れ

2019年6月10日 6:54 PM

変動価格はパンフレットのデジタル化などウェブ推進力となる一方、「ラグジュアリーな商品は残る」と髙橋社長

 JTBは第3の創業で掲げる旅行業モデルからソリューションモデルへの転換を実現するため、個人旅行事業の改革を進める。19年3月期連結決算は純損益が151億円の赤字に転落し、オンライン化やサプライヤーの流通施策の変化に対応し切れていない現状が浮かび上がった。投資分野の選択と集中を行い、22年度までに営業利益200億円を安定して確保できる体制を目指す。

 赤字額はリーマンショックの打撃を受けた10年3月期を上回る過去最大規模。売上高と営業利益は増えたが、M&Aで傘下に収めたブラジルとアジアの一部会社ののれんと基幹システムの開発の中止で減損処理を行い、特別損失129億円を計上したことが響いた。海外事業会社は現地需要の獲得が思うようにいかず、システム開発は日系航空会社などが20年からダイナミックプライス(変動価格)をツアーにも適用することを受け、抜本的な見直しを余儀なくされた。会見した髙橋広行代表取締役社長は、「経営改革のうえで避けて通れない。身軽になるための判断」と説明した。

 構造変革で特にてこ入れが求められているのが個人旅行だ。自然災害のほか、ウェブや変動価格への対応の後れで減収となった。対策としてOTA(オンライン旅行会社)のアゴダと提携し、サイトを「OTAと肩を並べる水準にする」(同)。扱う商品を明確化し、店頭では4月から一部で相談料を徴収するなど、コンサルティングが必要な商品の提供とサービス体制を強化する。

 人的資源も選択と集中を進め、ウェブや法人、都市部、直接部門に手厚く配置する。新規採用の抑制と自然減で従業員数は22年までに2000人減る見通しだ。役付き取締役の廃止で経営体制もスリム化した。