2019年5月27日 1:58 PM
訪日客の急増で観光公害への懸念が高まるなか、京都市観光協会が観光客の分散化に向けた対策を拡充している。伏見や大原、高雄、山科、西京、京北など市周辺部への継続的な誘客事業を行うDMC(観光地経営事業者)に対し、事業費を助成する制度を新設した。マーティングやコンテンツ開発、地元との関係構築を支援することで、観光による地域活性化にもつなげる。
京都市では、嵐山や祇園、金閣寺、清水寺などに観光客が集中し、特定の時期や時間帯での混雑が顕在化。観光客の満足度や再来訪意向の低下を招き、住民生活にも悪影響を及ぼしている。需要の分散化と平準化を促し、市全域で観光客が楽しめる環境整備を目指す。
助成対象は、課題の解決を図る事業や、周辺部を面として捉えて誘客し文化の継承・発展に寄与すること、市による支援終了後も事業を継続することを条件とした。初年度は500万円を上限に最大3年まで経費の一部を負担する。6月10日まで募集し、7月に採択する予定だ。助成金以外にも、京都市や観光協会の媒体などを活用したプロモーションや、事業実施に向けて関係者や行政機関との調整なども支援する。
これに先駆け、観光協会は近畿運輸局の実証事業の一環として、18年11~12月、嵐山地域の混雑状況の見える化による需要分散化に取り組んできた。Wi-Fiアクセスデータを活用し、日時・スポットごとの観光客の量を把握して「観光快適度」を予測。ウェブサイト上 で快適に観光できる時間帯での訪問や周辺エリアの回遊を促した。
同運輸局はその効果について、混雑を避ける行動変容につながったと分析する。今後は民間事業者のノウハウも活用しながら、本格実施を検討するという。
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