「リスクある企画にあえて挑む」 グローバルユースビューロー執行役員企画開発部長 小泉陽子氏

2019.04.29 19:51

 独自性のある海外旅行で知られる老舗旅行会社で初の女性役員に就任した。「その場でビジネスが決まっていく」と肩書きの威力に驚くとともに、責任の重さに気を引き締める。

 商談会や視察で海外を飛び回る。狙うのは“普通とは違うネタ”の仕入れ。行き先ではなくユニークな素材に軸足を置き、リスクのある企画にあえて挑む。かつて、小規模のホテルから「日本人グループには不向き」と言われ、仕入れの難しさを目の当たりにした。以来、買い取りのリスクを負うと同時に、設定日を見直し催行率を上げる努力をしてきた。「競争相手は海外市場。日本のグループ旅行の枠を超える旅をつくりたい」

 信念はヒットを生んだ。50周年企画のアラスカサファリクルーズでは、アクティビティーを体力レベルで分け、参加を諦めていた客の背中を押した。トレッキングが定番のネパールでは、歩かないツアーで新市場を開拓した。

 チャレンジをいとわない姿勢の裏には古木康太郎会長の言葉がある。森で餌を待つのではなく、サバンナで狩りをするライオンになれ―。今では海外出張で不在にすると「皆にハンティングに行っていると言われる(笑)」。

 役員に就任し、会社全体への目配りも必要になった。「女性社員が育児しながら活躍してもらえる環境や、その人の個性が輝く仕事は何かを考えていきたい」。ハンターとは違う柔和な笑みを見せた。

こいずみ・ようこ●1980年奈良県生まれ。両親の仕事の関係で3歳から高校まで日本とフランスで過ごす。2003年成城大学卒業後、グローバルユースビューロー入社。14年エクスペディションチームリーダー、16年企画開発部長を経て、19年4月から現職。