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訪日誘致は次の照準にスイスや中東、5市場を選定 ポスト五輪見据え

2019年4月29日 6:08 PM

 日本政府観光局(JNTO)は、準重点市場にオランダ、スイス、ニュージーランド、メキシコ、中東の5市場を新たに選定した。重点市場に追加することを目指し、市場調査や試行的プロモーションを実施する。ポスト五輪を見据え、伸びしろのある市場を育成し、多様な訪日マーケットを形成することが目的。

 準重点市場はいずれも訪日客数が年間5万~7万人と重点市場に次いで多く、近年の2桁以上の伸び率、経済成長率、地理的条件などを加味した。5市場ではこれまで在外公館や現地企業と連携した取り組みを展開してきたが、今後は詳細な市場調査とともに、広告を通じた露出、旅行会社対象のセミナー、商談会を積極的に行っていく。

 JNTOによると、オランダとスイス、ニュージーランドは1人当たりGDP(国内総生産)が高く海外旅行者が多いなど、旅行市場が成熟している特徴がある。メキシコは周辺地域もターゲットとしており、中南米のスペイン語圏マーケットを狙う。中東は1カ国単位では訪日客は少ないが、 アラブ首 長 国 連 邦(UAE)を軸にサウジアラビアやイスラエルにアプローチする。

 03年のビジット・ジャパン・キャンペーン開始当初、重点市場は韓国・台湾・米国・中国・香港だったが、その後、欧州・豪州・東南アジアが加わり20市場となった。全旅行者の96.1%(18年実績)を占め、増加を牽引しているが、伸びが鈍化傾向にあることや昨年頻発した自然災害で特定市場に依存しすぎることのリスクも露呈した。

 政府目標の30年6000万人に向け、JNTOは「さらに多様な国・地域で構成される厚みのある市場にする必要がある」(海外プロモーション部)としている。