2019年4月29日 8:00 AM
先日、内閣府男女共同参画局が主催する「企業×女性起業家のマッチングイベント」に参加した。事前にANAが出したお題に対して、パワフルで行動力あふれる起業家の皆さんから、おもしろい提案が次々とあがってきた。スタートアップの経営者は大企業よりも女性比率がかなり高い気がする。
この4月に、デジタル・デザイン・ラボからアバター準備室が分離独立して、メンバーが計20人に増えたが、うち13人が女性である。イノベーションを担う人財を公募するのだが、女性から多く手が挙がる。ちなみに男性7人はエンジニアである。多様性という観点で見れば、むしろ女性より事務系の男性が必要な状況ともいえる。
こうなると「女性活躍」なんて期待を込めて言っている余裕はなく、活躍することが大前提となるが、まったく心配もしていない。そもそも女性のほうが、最近とみに叫ばれている「イノベーション」「働き方改革」といったことに向いている気がする。
産休・育休中を含め一般的に女性のほうが家事や育児をする機会が多いが、炊事・洗濯・掃除等々を毎日限られた時間の中でその日の状況に合わせてこなしていくには、クリエイティビティ、タイムマネジメント、イレギュラー対応といった能力がないとできない。
自分の時間を大切にする分、効率的に仕事をするし、決断も早い。決定するのが嫌で結論を先延ばししようとすると、「これ以上時間をかけて何か新しい判断要素が増えるのか」と食ってかかられる。ある意味男らしい。
意識して「女性活躍」と言わなくても、おのずと女性は活躍すると思う。これまで男性は、運動能力や論理的思考力が高く、(産休等のブランクがない分)過去の経緯や人間関係といった副次的な知識に富んでいるから、仕事では重宝されてきた。
しかしながら、これらはまさにロボティクスやAIが得意とすることであり、どんどん効率化されていく。その分私たち人間は、新たな価値を創造していくことや、何が人間にとって幸せかを考えることが求められていく。そうなると、直観や感性が重要になってくるが、これはどう考えても女性の得意領域ではないか。
とはいうものの、AI礼賛論者になって社会不安を煽るつもりもなく、フェミニストになって時代にもてはやされる女性にぶら下がるつもりもない。自分のまわりの様子からも、「男性活躍」の必要性を訴えているのだ。登用されていく女性に対し、「下駄を履いている」とやっかむ声も最近多く聞こえてくるが、客観的にみて実際にそんなことはない。女の呪いよりも男の嫉妬のほうがはるかに怖いかもしれない。
J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)参加者の集まりに来ていた上司の男性陣に「J-Menを作ろう!」と働きかけたが、賛同してくれたのは女性役員だけだった。変なことは考えず、必ず到来する男性・女性・LGBTなどという必要のないフラットな社会を待つことにする。
津田佳明●ANAホールディングスデジタル・デザイン・ラボ チーフ・ディレクター。1992年に東京大学を卒業後、ANA入社。旅行代理店セールス、販促プロモーション、運賃、路線計画など営業・マーケティング関連業務を担当。2013年よりANAホールディングスへ出向し経営企画課長。16年より現職。19年よりアバター準備室長を兼務。
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