2019年4月22日 5:10 PM
エイチ・ アイ・ エス(HIS)は、JATA(日本旅行業協会)の正会員を3月31日付で退会し、協力会員に登録変更した。正会員は、旅行業者に供託が義務付けられる営業保証金の額が5分の1となる弁済業務保証金制度の利用が特徴。情報入手が目的の協力会員とは大きく異なり、旅行業界のリーディングカンパニーの登録変更は極めて異例。総会出席や議決権行使の権利も持たないこととなる。
HISは理由について、JATAが日本での旅行事業に重きを置いているとしたうえで、「海外の旅行事業が成長し、今後グローバルな展開を加速するなか、日本からの視点だけでなく軸足をグローバルに踏み出すため」と回答。グループ企業のうち、海外展開していないHIS沖縄やクオリタ、日本の旅行会社と関係性が強いミキ・ツーリストなどは正会員を継続する。ただし、HISもアウトバウンド促進協議会には継続参加するなど、可能な連携は行うという。
HISは供託金を国に直接収めることとなり、金額は6000万円から3億円に膨らむ。一方、JATAに支払う年会費は約360万円から7万円へと大幅に減少する。HISは任意加入のボンド保証制度もすでに退会しており、相互扶助の枠組みから抜けることになる。「相互扶助の必要性を否定するものではないが、上場企業として財務状況も公表しており、信用不安を感じさせる要素は乏しく支障はない」(同社)。
有力企業による業界団体の退会では、かつて日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)から同会長も務めたミキ・ツーリストが脱退し、大手企業の役割と業界団体のプレゼンスが疑問視された経緯がある(同社はその後再入会)。HISのJATA正会員退会が与える影響は少なくなさそうだ。
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