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解禁外国人労働、宿泊業の人材不足は救えるか

2019年3月25日 8:00 AM

宿泊業全体で最大2万2000人の外国人受け入れが可能に (C)goo/PIXTA

 4月から改正出入国管理法が施行され、外国人の働き手確保のハードルが下がる。人手不足に喘ぐ宿泊業界には福音だが、実際に労働力問題の解消につなげるには課題も残る。宿泊業界は入管法改正をどのように受け止めているのか。またどのような課題に直面することになるのか。

 日本の労働力不足は年々厳しさを増しており、企業活動にも深刻な影を落としている。東京商工リサーチによれば、18年は「人手不足」関連倒産が387件となり、15年の340件を上回って最多記録を更新した。なかでも働き手の確保が困難で事業継続できなくなった求人難型倒産が前年比68.5%増、人件費高騰による倒産も73.3%増と大幅に増加した。産業別では宿泊業を含むサービス業の倒産が最多で、前年比約4割も増加している。

 観光庁の推計によると、宿泊分野の有効求人倍率(17年)は6.15倍で、宿泊業・飲食サービス業の欠員率も5.4%。このため、現時点ですでに約3万人の労働力不足が生じていると考えられる。近年の訪日外国人の増加で、宿泊需要が増大する見込みであることを勘案し、5年後に10万人規模の人手不足が生じるというのが観光庁の試算だ。

 こうした現状のもと、人手不足を補っているのが外国人労働力だ。厚生労働省によれば、外国人労働者数(18年10月末時点)は前年同期比14.2%増え、146万463人の過去最高となっている。

 産業別の状況を見ると建設業、宿泊業、飲食サービス業の増加が目立っており、外国人雇用事務所全体に占める産業別構成比では、宿泊業・飲食サービス業が前年同期比0.2ポイント増の14.5%となっている。こうした数字からは、人手不足の現状を外国人労働力で補っている宿泊産業の実情が浮かび上がる。

 もはや労働力不足を補うための頼みの綱が外国人だともいえる宿泊産業は、改正入管法施行で新在留資格「特定技能1号」の対象分野14業種の1つに宿泊業が認められたことを大いに歓迎し、受け入れ準備を進めている。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は、改正入管法に基づき外国人が宿泊産業に就労するために合格しなくてはならない宿泊業技能試験の実施主体となる宿泊業技能試験センターを、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟と共同で18年9月に設立。同センターでは今年4月、国内7カ所とベトナム1カ所で第1回目の宿泊業技能試験を行う予定。その後は4月と7月の年2回のペースで試験を実施していく計画で、将来的には海外での試験開催地も増やしていきたいとしている。

 全旅連では昨年、ベトナムの観光総局と9大学と覚書を締結。優秀な人材の確保や人材のミスマッチ防止を目的に、教育プログラムの開発や就労支援などを行う。また制度周知として日本旅館協会は2月、セミナーを都内で主催。山口敦史労務委員長が法改正のポイントなどについて解説し、他地域でも周知を行っている。

現場ではすでに活躍

 業界団体が積極的に取り組むのは、各宿泊施設がすでに外国人労働力の受け入れを一定程度進めており、その有効性が明らかだからだ。各宿泊施設は高度人材のほか、日本人・永住者の配偶者が働ける在留資格、留学生アルバイトの「資格外活動」(週28時間以内)などを利用して外国人人材を活用している。

 長野県の白樺湖にある池の平ホテルは、10年以上前から外国人を雇用。年間2万人を超える外国人宿泊客への対応が主な目的だったが、現在はネパール人シェフが作る本格カレーや、ベトナム人シェフが作る本場のフォーなどが人気で、日本人宿泊客からも喜ばれている。兵庫県の城崎温泉・西村屋では日本人を配偶者とする外国人や、高度人材などで雇用した外国人が通訳やインバウンド対応で活躍しており、総菜製造業の技能実習生としても12人を受け入れている。

【続きは週刊トラベルジャーナル19年3月25日号で】[1]

Endnotes:
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