ANTA、福島に10万人送客で復興促進

2019.03.04 11:19

会場は震災時に避難所となったビックパレットふくしま。
ANTAの紺野平福島県支部長が開会を宣言した

 全国旅行業協会(ANTA)は2月15日、福島県で第14回国内観光活性化フォーラムを開催し、10万人を目標とする送客キャンペーンの実施を決議した。これに呼応する形で、福島県は新しい学び旅として「ホープツーリズム」の推進を図る。フォーラムは支部の連携や情報交換を通じた着地型旅行の推進を目的に、毎年異なる地域で実施。東日本大震災から8年目を迎える今年、福島県を会場に会員企業ら約1250人が集まった。内堀雅雄県知事は、「復興に向けた力強い歩みを、来て、見て、考えてほしい」と語った。

 福島県の17年の観光入込客数は前年比3.3%増の5449万人。東日本大震災が発生した11年は3521万人で前年の5717万人から激減した。15年に5000万人台に回復して以降、3年連続のプラス成長を続けているが、10年比では4.7%減と震災前水準に届いていない。特に原子力発電所があり被害が大きかった浜通り地域では、31.8%減と回復が著しく遅れている。ANTAの紺野平福島県支部長は現状について、「復興は進んでいるが、まだまだ風評被害はある」と語った。

ホープツーリズムは福島県が推進している事業で、各分野で復興に正面から向き合う人との出会いや福島のありのままの姿を実際に見て、聞いて、学んで、希望を感じてもらうことを目的とする。浜通り地域の楢葉町の廃炉技術視察や南相馬市の医療分野の講話などを組み込んだツアーが一例だ。

 回復が遅れている教育旅行再生事業の一環としても期待される。教育旅行では今後の学びにつながる体験が重視されるが、ホープツーリズムに参加した兵庫県の高校生が地元の小学生を対象に福島の現状を説明する出前講座を実施した事例などもある。

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