2019年3月4日 7:19 PM
需要の多寡によって売り値を変えるダイナミックプライシング(変動価格)が広がりを見せている。航空券や宿泊では定着しているが、横浜マリノスやユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が昨年から取り入れるなど、スポーツやレジャー業界で新たに導入する例が相次いでいる。これに目をつけたのが旅行業界に変動価格の技術提供を行ってきたフォルシアで、裾野拡大を図ると同時に、旅行分野にも新たな活用を促す。
フォルシアがターゲットとするのは、スポーツのほか、ライブなどを手掛けるエンターテイメント業界、美容、リラクゼーション、映画、駐車場などの分野だ。日や時間帯によっても売れ行きにむらがあり、収益拡大に向けて需要の平準化が課題となっている。「需要を予測し、価格設定にかかる労力を軽減したいという相談が寄せられている」(営業部・加藤みちる氏)
現在、導入を検討する事業者の協力を得て、基盤となるデータベースやシステム環境の検証を行っている。これと並行して取り組んでいるのが、京都大学との共同研究だ。数理モデルを使った値付けの方法を研究し、幅広い分野に応用できる理論の創出を目指す。旅行とは違い、利用タイミングの制約が高くない業界には、異なるアプローチが必要となるためだ。
もう一つの狙いは、顧客の属性や行動履歴を踏まえて個人の需要を予測し、価格を変動させる応用型への発展だ。「個人によって提案内容を変える時期に来ているのではないか」(加藤氏)
国内で導入が広がれば、ダイナミックパッケージに旅先の体験を含めた包括的な予約が可能になる。同社は、訪日需要の高まりからそうした環境整備が進む可能性も見据えている。
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