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国際航空券の現金決済を制限、IATAが4月から新制度

2019年2月25日 7:09 PM

 現金で決済する国際航空券の発券額に4月から上限が設けられる。IATA(国際航空運送協会)が導入する新制度の一環で、公認代理店のデフォルト(債務不履行)を回避する狙い。同時に、独自開発した電子ウォレット「IATA Easy Pay(IEP)」を選択肢に加え、航空会社にとってリスクの低い取引環境を整える。

 現金決済による発券額のうち、年間上位3週の平均値に発券から入金までの日数を乗じた額の2倍が上限となる。IATAは、現金取引のない支払い方法を選べば銀行保証を不要とする代理店公認方式も新設するが、パッケージツアーや団体旅行で主に用いられるIT航空券は現金決済が原則。業務渡航でも現金決済を希望する企業はあり、クレジットカード決済が中心のOTA(オンライン旅行会社)以外の代理店は支払い方法の見直しを行わない見通しだ。

 複雑なのは、財務状況と支払い履歴から代理店が3つにランク分けされる点だ。最下層の場合、現金決済の上限が引き下がるなど制約が厳しくなる。新制度に精通する関係者は、「7~8割は上位や中間ランクになると見られるが、送金遅延などのミスは生じやすく、最下層にならないための注意が以前に増して必要」と語る。航空会社の承認を前提に代理店名義のクレジットカード決済も可能となるが、「航空会社はリスクを犯したくないはずで、認められるケースはまれではないか」(同)。

 現金決済を複合的に抑制し、IEP利用を促すIATAの意図が明白だが、IEPの普及には不透明感が漂う。専用口座から発券時に引き落とす仕組みで、航空会社は確実な収受につながる一方、「残高管理など労力が増し、代理店側のメリットはない」(業務渡航専門旅行会社幹部)との声が多勢だ。