2019年2月11日 4:26 PM
日本政府観光局(JNTO)は19年の訪日外国人誘致で、新規市場の欧米豪の開拓に加え、東アジア市場の成長を確実に取り込む全方位戦略を推し進める。18年は過去最高の3119万人を記録したとはいえ、自然災害の影響で8.7%増にとどまり、それまでの2桁成長から失速した。20年4000万人の目標達成には年平均13.2%の上積みが必要で、訪日旅行者の7割を占める大票田を取り込み、着実な成長につなげる。
JNTOは近年、市場拡大には消費額の底上げにもつながる欧米豪の誘致が不可欠として、重点的にプロモーションを展開してきた。18年はカナダ・英国を除く主要7カ国が10%以上の伸びを記し、徐々に効果が出始めている。
一方で、東アジアは累計伸び率が昨年9月に欧米豪を下回って以降、その差が拡大するなど減速が顕著。韓国は人気訪問地の関西で相次いだ災害の影響で戻りが鈍い。香港も新たな旅行先を求める層が定番の日本を敬遠しているとみられ、18年は1.1%減少した。
企画総室の金子正志総室長は目標の4000万人について、「無理な数字ではないが楽ではない」と話す。「欧米豪を育成する方針は変わらないが、効果を中期的に捉える必要がある。残り2年しかないなか、急ブレーキがかかった分を取り戻す」との考えだ。東京五輪が開催される20年は旅行需要に与えるマイナス要素もはらむ。選手や関係者の来訪や観戦需要はある半面、混雑回避の動きが生じるからだ。
重点誘致策の1つがデジタルマーケティングの強化。旅行者個人の背景や関心を踏まえてターゲティングし、デジタル広告など各プロモーションに生かす。手薄だった地域との連携も強化し、先進事例の共有や観光コンテンツのデータベース化を進める。
Copyright © TRAVEL JOURNAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.