Travel Journal Online

旅行大手がツアオペ囲い込み、HISに続き日旅・阪急もミキに出資

2019年1月28日 5:55 PM

 大手旅行会社が欧州を主力方面とするツアーオペレーターに資本参加する動きが加速している。

 エイチ・アイ・エス(HIS)が17年5月、ミキ・ツーリストの持ち株会社グループ・ミキ・ホールディングス(ミキグループ)を連結子会社化し、JTBが同9月にクオニイ・グローバル・トラベル・サービスを完全子会社化したのに続き、日本旅行と阪急交通社が18年12月、ミキグループの株式を13.3%ずつ取得した。アジアの旅行需要の拡大などで仕入れが厳しくなるなか、現地素材の確保策が活発化している。

 日本旅行は出資効果について、確実な地上手配や危機管理対応を通じた欧州商品の品質向上に期待する。「欧州への旅行需要が回復基調にあり、取り扱い規模の拡大を図る戦略の一環」との位置づけだ。

 ミキグループ側は「各社からフィードバックを得られることで品質の向上につながる」と説明する。保有株式70.3%のHISを筆頭に大手3社で約97%を占めることになるが、従来どおり公平性を保つとしている。

 欧州のランド手配は、ホテル側のアロットメント廃止が加速しているほか、アジアからの旅行者が急増し、素材の確保が困難になっている。大手旅行会社を中心に現地法人による自社仕入れ機能を縮小する傾向も強まっており、「ツアーオペレーターの重要性は高まっている」(中堅旅行会社幹部)。

  そうしたなかでのツアオペ大手であるミキへの出資について、他の旅行会社からは「システムなどへの投資が増強され、間接的に恩恵を得られるのでは」(大手旅行会社)と期待の声が上がる。一方、「公平性が保たれるとはいえ、出資先が有利になる可能性はある」(中堅旅行会社)との懸念も生じている。