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英人気旅行ブランド終焉に広がるノスタルジー

2019年1月21日 8:00 AM

 去る10月末、50年以上にわたり業界に影響を与えた英国の人気旅行ブランドが消えた。全盛期には旅行業界に変革をもたらした代表的ブランドだ。トラベルウイークリー誌は、旅行業界に深いノスタルジーと悲しみが広がっているとして、過去にこの主催会社に働いた社員や学生時代に参加した顧客の名残りを惜しむ声を紹介している。

 今では英国旅行業の指導者になった多くが、このツアーの現地責任者として旅行ビジネスの基本を学んだとして、良き昔の思い出を語った。ツアーの特徴は各リゾートでレップやマネジャーが重要な役割を負うことで、インターネット以前の時代に顧客情報を郵便で受け取り、エクスカーション、毎日のエンターテイメント、ホテル契約署名など若い旅行業入門者のOJT になったという。

 「クラブ18-30」は1985年にオペレーターのホライズンホリデイが創始した。当初は夜行便の未利用席を利用した1週間リゾート滞在の低価格パッケージツアーだった。主催会社が「あなたの伯母さんは参加を喜ばないだろう」の標語を掲げたとおり、若者の出会いの場であり、その風景は太陽、砂浜、サングリア、ビーチパーティー、バカ騒ぎなどが象徴する。

 その後、主催会社は何度か変わり、98年にトーマスクックが破格の5750万ユーロで買収した。しかし、ピーク時に年間10万人だった参加者は、昨年4万5000人まで減少した。トーマスクックは2002年にブランドをより洗練された若者向きに変えようとしたが、商品はすでに成熟期を迎えていた。同社は約500万ユーロと評価されたブランドの売却を図ったが、買い手がなく、ついに英国から1つの有名ブランドが消えた。

 一時は大成功したブランドが消滅した原因は、消費者の志向が変わったからだ。識者はこの市場原則をダーウィンの言葉「生き残り繁栄するのは、最強の種でも最も賢い種でもなく、変化に適応した種だ」を引用した。確かにクラブ18-30は、時代の変化に適応していなかった。これは異なる時代の産物で、その時代はかなり前に終わっていた。一時はマンモスのようだったブランドが、ポラロイド、コダック、ノキア、ブラックベリーなど、辛うじて生き残っている事例に事欠かないが、すべて変化する環境に適応できなかった。

 クラブ18-30がターゲットにする顧客はブランド絶頂期の90年代から大きく変わった。英国政府統計局によると、今日の16 ~ 24歳の4分の1は酒を飲まないが、大人全体では5分の1だ。調査会社ミンテルによると、ナイトクラブに行く人はこの5年で21%減った。人々は団体の集まる場所より静かなビーチのバーを好み、ミレニアル世代の趣味は先端的、クール、アドベンチャラス、文化的、月並みでないことでインスタ映えが流行だ。

 絶えず変化する市場でどの人気ブランドも安全ではない。デジタル時代の巨人グーグルもフェイスブックも10年前のイノベーターではない。フォードやGMのようにイノベーションの推進者ではなく受益者になる。クラブ18-30の物語は旅行業の教訓になるだろう。顧客のモチベーション、ニーズ、興味は絶えず変化する。市場と一緒に進化できない会社は落ちこぼれる。

グループ4●旅行業界と外国政府観光局で永年キャリアを積んできた4人により構成。大学の観光学部で教鞭をとったり、旅行業団体の幹部経験者もいる。現在、外国メディアで日常的に海外の観光・旅行業界事情に接し、時宜に応じたテーマで執筆している。