Trip.comの空売り問題、シートリップ成長戦略に暗雲

2019.01.07 14:55

不当表示などの疑惑のあった販売業者のうち、観光庁調査で社名が判明した業者はいずれも中国系企業の模様

 グローバル展開を加速している中国OTA(オンライン旅行会社)のシートリップの日本での展開に暗雲が立ち込めている。日本語で航空券やホテル、列車を予約できるサイト「Trip.com」を17年から運営してきたが、客室在庫のないホテルの販売や高額な取り消し料などの問題が浮上し、一部サービスの停止を余儀なくされた。同社は是正に努める意向だが、管理体制の確立には不透明感が漂っている。

 問題は12月上旬、確定した予約が施設側で確認できず、客室が押さえられていない実態が判明し明るみに出た。要因はリクエスト予約と呼ばれる販売形態と仲介業者の存在だ。顧客の希望する施設にデポジットを支払い、空室の確認が取れた場合に予約を確定する形態。加えて、同社は施設との直接取引のほかに販売業者が仲介する施設も扱っており、業者側の仕入れ事情や規定がそのまま反映されるため、業者の客室未確保や法外な取消料がトラブルにつながった。

 同社はリクエスト予約を停止し、販売業者10社と契約を打ち切った。未確定予約には施設変更などで対応し、年末年始の大混乱をかろうじて回避した。

 観光庁の田端浩長官は「そうしたビジネスモデルは信用されない。厳しく指導する」と遺憾の意をあらわにする。ただ、立ち入り検査では、対応窓口となっている第1種旅行業のシートリップ・ジャパンは訪日団体旅行が主業務で、サイトの運営や仕入れに関与していなかった。関連旅行会社についても業務内容の確認を急いでいるが、無関与の場合は指導範囲が異なってくる。

 シートリップの孫潔CEOは昨年、日本で「売上高の50~100%成長を目指す」と高い意欲を示した。だが、宿泊業界と市場の信用は失墜し、戦略の立て直しが急務となっている。

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