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リリース日:2018年5月31日

黄金に輝くミャンマー 豊かな仏教文化と穏やかな人々の国

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近年、観光地として注目を浴びつつあるミャンマー。
ミャンマー観光連盟の日本代表が任命されるなど日本市場に向けた観光客誘致活動も積極化している。
3 月に催行されたプレスツアーで、ヤンゴン、バガン、インレー湖の観光素材と現地の状況を視察した。

取材・文/佐藤淳子


▲バガンの朝焼け。林立するパゴダの上空に、観光客を乗せた気球が浮かぶ


▲黄金に輝くシュエダゴン・パゴダ。家族連れや欧米人観光客を含め多くの人で賑わう


 北東は中国、北西はインドと、大国2つと隣接し、南東はタイと長い国境を共有するミャンマー。南北に長い国土を持つこの国には135に及ぶ民族が暮らす。多様な文化の混在が魅力のミャンマーだが、同国最大の観光素材といえば、やはり国民の9割が信徒である仏教にまつわる遺跡だろう。
 ミャンマー随一の大都市ヤンゴンには、人々の誇りであるシュエダゴン・パゴダがある。境内では座り込んで寛ぐ親子連れやデートを楽しむカップルなど、和やかに参拝する姿にあふれ、パゴダ(仏塔)が神聖な場所であるとともに、憩いや癒やしの場となっていることがよくわかる。パゴダ参拝の際には誰もが裸足になることが求められるが、こうしたことも関係あるのか、こちらまで心身を解放された穏やかな気分になるのが不思議だ。
 仏像の光背としてきらびやかなネオンが輝いていたり、境内に土着の精霊である神がユーモラスな姿で祀られていたりと、どことなく緩やかな感じもまたこの国の魅力かもしれない。


パゴダの林立する幻想的な光景

 仏教遺跡を最も豊富に有しているのが、ヤンゴンから空路1時間ほどの場所にある中部のバガンだ。11世紀、ビルマ族が初めて統一王朝を打ち立てた地バガンは、その後3世紀にわたって大いに栄える。この間、王族から庶民までが競うように仏塔を建造した。それが、王朝の滅亡から700年のときを経た今も残り、世界無二の光景を作り出している。パゴダや寺院、僧院などこの地に残された建造物の数は合わせて2000とも3000ともいわれ、その膨大さに圧倒されるばかりだ。日の出と日の入りの時刻には、パゴダの林立する一帯が陽に染まる絶景をカメラに収めようと、小高い丘や展望タワー「バガン・ビューイング・タワー」に多くの観光客が集まる。上空から幻想的な風景が堪能できるバルーンツアーも人気だ。
 見どころが集中しているのは、城壁に囲まれた地区「オールドバガン」。なかでも必見はアーナンダ寺院だ。11世紀創建のこの寺院は、ヒマラヤの窟院を模して建てられたといわれ、本堂の天辺に黄金に輝くシカラ(高塔)を頂く見事な建築物である。内部には、東西南北に向く4仏の立像が収められているが、それぞれ10m近くに及ぶ仏像は見事。丸く穏やかな顔立ちからは、他国の像にはない独特の印象を受ける。


▲4立像で知られるアーナンダ寺院 


▲シュエズィーゴン・パゴダ境内のナッ神像


このほか、13世紀建立のティーローミンロー寺院には、2層になった寺院の内部に東西南北に向いた合計8体の仏像が収められ、こちらも見応えたっぷり。過去の地震により倒壊し、補修が現在進行形で続けられているパゴダも少なくないが、観光客の興味を引く素材は豊富にある。
 さて、伝統工芸もこの国の貴重な観光要素だ。その1つが、バガンに伝わる漆器工芸。竹などの素材に馬の毛を編み込むなどした器に何度も漆を塗り重ねていく漆器は、古くは室町時代の日本にも輸出された歴史を持つ。街には工房が点在し、無料で見学可能。ショップが併設されていて、食器や雑貨などが購入できる。
 さらに、多民族国家であるミャンマーでは、地域によって、その土地固有の風景とともに、異なる風習を目にすることができる。発展の過程にあるこの国では、観光客にとっては幸いなことに民族の伝統がまだ残されているのだ。
 たとえば、国土の中央部、南北に広がるインレー湖。この湖では、水上集落を住まいとして、浮畑や漁業で生計を立てるインター族が暮らしている。生活も観光も、足となるのはボートである。観光の拠点となる湖北側の街ニャウンシュエを出発し、浮き草の間を抜けると開けた湖に出る。トマトなどを水耕栽培する浮畑や高床式の住居など独特の光景が広がる湖を、風を切って進むボートツアーは爽快だ。
 湖上にはハスの茎の中に通る繊維を糸として使う珍しい織物の工房や、銀細工の工房、レストランなども点在し、ボートで立ち寄ることができる。信者から寄進の金箔を貼られて丸々とした形になってしまった珍しい仏像が見られる水上パゴダのファウンドーウー・パゴダも興味深い。インレー湖南端近くには、湖の水生生物を集めた水族館やビルマ猫の保護施設、宿泊施設などからなるインレー・ヘリテイジ・ハウスがあり、ここでは伝統的なシャン料理が食べられる。


▲インレー湖上のレストランで味わうシャン料理

 水上集落を縫うように進む小舟、片足で櫓を漕ぎながら網を操る独特の漁、無邪気に水遊びをする子供たち。穏やかな湖面で繰り広げられる光景に、この地で連綿と生をつないできた人々の歴史に思いを馳せてみるのも旅の醍醐味だろう。


▲豊かな食文化を伝えるバガンのニャウンウー市場


▲インレー湖のあるシャン州にはワイナリーも


▲インレー湖の夕景。今も伝統漁業が行われている

ターゲットは欧米からアジアへ

 今回のプレスツアーはミャンマーホテル観光省とミャンマー観光連盟の主催によるものだ。初日には、ウオン・マウン・ホテル観光相自ら出迎え、「これまでミャンマーは西洋市場を重視してきたが、今後は東に目を向ける。日本、韓国についてはビザの免除も検討している」と語り、国を挙げてアジアからの観光客誘致に取り組む姿勢をアピールした。


▲ウオン・マウン・ホテル観光相は観光促進を強調

 最近、日本で耳にするミャンマーのニュースといえば、少数派のイスラム教徒ロヒンギャの問題に集中している。しかし、この問題の波及地域は西側の一部に限定され、日本人が心配する治安の不安は観光ルートでは感じられない。目立ったのは欧米からの観光客の多さだ。参加した日本のメディアからは、安定した料理の質、観光素材の豊富さなど観光地としての長所を挙げる声が多く聞かれた。
 なかでも多くの人が口にしたのが人々の優しさだ。ミャンマー人の慈悲深さは、現世での功徳を説く上座部仏教の教えと無縁ではないだろう。その穏やかさは宗教に対する柔軟さにも通じる。仏塔であるパゴダ、キリスト教の教会、イスラム教のモスクと、異なる宗教の建物が相対する位置で建つヤンゴン中心地スーレー地区の光景はその象徴だ。
 こうしたメンタリティーは、日本人に合う。日本とミャンマーは、12年秋に12年ぶりの成田/ヤンゴン線を開設した全日空が、現在毎日1便で結んでいる。ミャンマーホテル観光省によれば、現時点で外国人観光客に占める日本人の割合は5%。外国語表記の不足や国内航空便の不安定さなど解決すべき問題はあるものの、日本人にとって次のアジアのデスティネーションとなる可能性は大いにある。「安近短のアジア」とは一線を画す旅程を望みたい。人々と触れ合い、歴史に想いを馳せる時間にこそ、この国の楽しみが見出せるはずだ。